「Kさんをほめることで、話を聴ける人になってもらう作戦」は最初からつまづいてしまいました。ほめることが下手な自分としては思い切ってほめてみたのですが、Kさんには伝わらなかったようです。
そこで「うまくいく別の方法はないかな?」と探してみました。
「そうか、Kさんはコントローラーなので、ほめるより感謝がいいかもしれない。」
今度は口癖のように感謝を伝えることにしました。朝礼や終礼時、診療中、診療後一人きりの時など、いろいろな状況で「ありがとう。」「おかげで助かっているよ。」と伝えてみました。
するとどうだったでしょう。Kさんはうれしそうで笑顔で返してくれます。ようやく、自分の気持ちが伝わったようです。
このことから「Kさんはほめ言葉よりも感謝の言葉が伝わるようだ。コントローラーは一対一の場面で承認しろと言われるけど、Kさんはみんなの前で「ありがとう」と言っても伝わるようだ。」ということが分かりました。
このときに次のことに気がつきました。
Kさんに対して、自分のコニュニケーション方法を変えることができたのでは?
これまでは自分が言いたいことだけ言ってきたけれども、今は相手に合わせ、相手が受け取りやすい言葉を投げることができるようになった。
Kさんにしたように、相手それぞれに対して自分を変えてゆくこと、これこそが赤本の「まず院長が変わらなければならない」ということではないか?
この時、ついに自分が変わったことを認識できました。
「コーチングって相手の受け取りやすいボールを投げ続けることなのだ。」「ついに、自分は変わったのだっ!」私は嬉しい気持ちでいっぱいでした。
ところが、周りから見れば私は一日中Kさんに「ありがとう。」「ありがとう。」と言いまくっているだけです。
うーん。もう少し彼女が活き活き輝くようなアプローチはないかな?
もう一歩「承認」ができないだろうか?
これまでの自分では考えもしなかった課題が見えてきました。