「先生、お話があるのですが…」新人のKさんからこう切り出されたのは、彼女を採用してまだ1か月にもならないころでした。
メンバーからこの言葉を言われるとたいてい嫌な予感がするものです。
「どうしたの?」なるべく平静を装って尋ねますが、内心穏やかではありません。
「今の仕事は、帰りが遅すぎます。家族にも迷惑が掛かります。辞めさせていただきます。」
確かにその当時(今もあまり変わりはないですが)、終業が遅く、終礼の時刻が20時くらいになっていました。
メンバーの帰宅が遅いことにずっと私は胸を痛めていたため、「今日は早く帰れるよう頑張ろうね。」「夕方に受けるご予約の数を調整しようね。」と毎日言うのですが状況は全く変わりませんでした。
Kさんがわずか1月で退社し、新人のMさんが入社してきました。明るくて前向きな素敵な女性です。「彼女には末永く働いて欲しい…そのために、彼女を含めみんなが早く帰ることができる環境を作らねばならない…」思いと裏腹に、またも帰りが遅い日が続きました。
何とかしなければ…そう思いながらも有効打を打つことはできないまま1月が経ちました。
「先生、お話があるのですが…」Mさんから話を切り出された時、次の言葉は聞かなくても明らかでした。
「帰りが遅すぎます。こんな職場とは思っていませんでした。辞めてもいいでしょうか?」
こうしてかけがえの無い2人のメンバーを失い、「メンバーが早く帰ることができる環境を作りたい。」という思いをますます強くしました。でも、どうしたらいいのだろう?何を変えればいいのだろう?悩んだものの解決は見つかりませんでした。
「みんなに早く帰って欲しいんですけど、うまくいかないんです。」私は思い余ってコーチに相談していました。